リーグレポート
REPORT

「行きやすさ」ではなく「求められるか」。海外展開は“生存戦略”である

「行きやすさ」ではなく「求められるか」。海外展開は“生存戦略”である ― 第7回 スタートアップリーグアカデミー ダイジェストレポート―

2025年12月9日、第7回『スタートアップリーグアカデミー』が開催されました。

今回は、運営会合メンバーであり、Start2 Group 日本代表の小田嶋 Alex 太輔氏による特別セッション「海外展開戦略の基礎」が行われました。バリューアップセッションでは、株式会社EfficiNet Xと株式会社頼りの2社が登壇し、事業のさらなる成長に向けたメンタリングが行われました。

■特別セッション:『海外展開戦略の基礎 ―生存戦略としてのグローバル―』

セッション:『グロース以外のエグジット戦略』

トークセッションでは、小田嶋氏が自身の豊富な支援実績をもとに、スタートアップが海外を目指すべき理由とその戦略について語りました。

小田嶋氏は冒頭、「日本のGDPは世界全体の約4%。これは日本国内における埼玉県と同程度の規模である」という衝撃的な例えを用い、日本市場だけに留まることのリスクを示唆。「海外展開は単なる拡大ではなく、生存戦略である」と強調しました。

また、進出国を選ぶ際の鉄則として、「行きやすさ(規制や親和性)」ではなく「デマンド(現地で求められているか)」を最優先すべきだと指摘。自社のソリューションが解決する課題(コンテキスト)を現地の文脈で深く理解し、最適な市場に「一点集中(フォーカス)」することの重要性を説きました。さらに、海外VCからの資金調達を見据えるならば、英語での情報発信やグローバルスタンダードな契約・会計基準への適応が不可欠であると具体的なアドバイスを送りました。

■株式会社EfficiNet Xによるバリューアップセッション

株式会社EfficiNet Xによるバリューアップセッション

株式会社EfficiNet Xの中村 紳太郎氏は、複数のAIやロボットが協調してタスクを遂行する「チームプレー型AI(マルチエージェントAI)」についてプレゼンを行いました。物流や防衛、スマートシティなど多岐にわたる応用可能性と、独自の技術的優位性が語られました。

有識者からは、技術の汎用性が高いからこそ「どんな世界を作りたいのか(Worldview)」をより明確に打ち出すべきだという指摘がありました。「カオスなまま協調させたいのか、整然と動かしたいのか、自身の美学が見えるともっと人が集まる」といったビジョンに関する助言や、バリューアップの場をもっと具体的に「何をしてほしいか(誰を紹介してほしいか等)」を要求する場として活用すべきだという愛のある檄が飛びました。

■株式会社tayoriによるバリューアップセッション

株式会社tayoriによるバリューアップセッション

株式会社tayorの直林実咲氏iは、自身の原体験に基づく「終わる方の就活サービス」についてピッチを行いました。ユーザーが「いつかやろう」と先延ばしにしがちなメッセージ作成を、日常の「つぶやき」から自動生成する形へピボットする構想が発表されました。

有識者からは、「就活」という言葉の重さに縛られず、もっと人間の根源的な欲望や楽しさにフォーカスすべきだという意見が相次ぎました。「ゲーム化(ゲーミフィケーション)」して自然とデータが溜まる仕組みや、ビジネスモデルの再構築に向けた具体的なアイデアが数多く提案されました。代表の直林氏も「一度フラットに考え直して、上書き(リニューアル)します」と力強く応じました。

■詳細レポートと当日の熱気をSNSで!

白熱したセッションのさらに詳しい内容は、後日公開予定の詳細レポートでお伝えします。

最新情報は公式X(旧Twitter)でお知らせしますので、ぜひフォローして続報をお待ちください。
公式Xアカウント:https://x.com/startupleaguejp

また、当日のリアルな熱気は、ぜひハッシュタグで検索してみてください!
推奨ハッシュタグ:#スタートアップリーグアカデミー

■ICTスタートアップリーグ
総務省による「スタートアップ創出型萌芽的研究開発支援事業」を契機に2023年度からスタートした支援プログラムです。
ICTスタートアップリーグは4つの柱でスタートアップの支援を行います。
①研究開発費 / 伴走支援
最大2,000万円の研究開発費を補助金という形で提供されます。また、伴走支援ではリーグメンバーの選考に携わった選考評価委員は、選考後も寄り添い、成長を促進していく。選考評価委員が“絶対に採択したい”と評価した企業については、事業計画に対するアドバイスや成長機会の提供などを評価委員自身が継続的に支援する、まさに“推し活”的な支援体制が構築されています。
②発掘・育成
リーグメンバーの事業成長を促す学びや出会いの場を提供していきます。
また、これから起業を目指す人の発掘も展開し、裾野の拡大を目指します。
③競争&共創
スポーツリーグのようなポジティブな競争の場となっており、スタートアップはともに学び、切磋琢磨しあうなかで、本当に必要とする分の資金(最大2,000万円)を勝ち取っていく仕組みになっています。また選考評価委員によるセッションなど様々な機会を通じてリーグメンバー同士がコラボレーションして事業を拡大していく共創の場も提供しています。
④発信
リーグメンバーの取り組みをメディアと連携して発信します!事業を多くの人に知ってもらうことで、新たなマッチングとチャンスの場が広がることを目指します。