2025年11月5日、第5回『スタートアップリーグアカデミー』が開催されました。
今回は、運営会合メンバーでもある、株式会社みらいワークス 代表取締役社長の岡本 祥治氏による特別セッションが行われました。バリューアップセッションには株式会社フィッシュパスとトランステップ株式会社の2社が登壇し、事業をさらに加速させるため、有識者と活発な議論を交わしました。
セッションのテーマは『スタートアップにおける人材活用の最前線』。岡本氏(写真)は、自身の創業からIPO、そして現在の事業多角化に至るまでの経験を踏まえ、スタートアップがプロフェッショナル人材をいかに活用すべきかを語りました。
特に強調されたのが「ライフワーク」と「ライスワーク」という概念です。多くの優秀なプロ人材は、生活のための仕事(ライスワーク)だけでなく、自己実現や社会貢献のための仕事(ライフワーク)を求めています。スタートアップが自社のビジョンや事業の社会的意義に共感を呼ぶことで、優秀な人材が「ライフワーク」として、必ずしも高額ではない報酬(時には謝礼3万円など)でもプロジェクトに参画してくれるケースも。実際、岡本氏自身の会社でも、創業初期からIPO前後(外部CFO、広報PR担当など)に至るまで、こうしたプロ人材の活用が事業成長の鍵となった実例が紹介されました。
また、事業の立ち上げに関しても、当初からROI(投資対効果)を緻密に計算したものではなく、「困っている友人を助けたい」という純粋な動機から始まったフリーランス事業が、後に地方創生事業やリスキリング事業と結びついていった経緯を披露。「ビジョンを諦めずに試行錯誤を続ける中で、事業同士が結びつき、新たな価値が生まれる」というメッセージは、参加したスタートアップに大きな勇気を与えました。
株式会社フィッシュパスは、全国の漁業協同組合の遊漁券デジタル化アプリ「FISH PASS」で圧倒的なシェアを獲得しています。その基盤を活かし、次に「環境DNA」技術(コップ1杯の水で生態系がわかる技術)を用いた生物多様性ビジネス(企業のESG支援など)への展開を目指しています。
セッションでは、この新規事業の成長戦略、集中すべき領域、そしてIPOの是非について課題が提示されました。
これに対し、有識者からは、折しも社会問題となっている「クマの出没」というタイムリーなトピックと環境DNA技術を結びつけ、「川の水でクマの生息域がわかる」といった具体的なソリューションとして打ち出すことで、一気に社会的注目と企業ニーズを獲得できるのではないか、という具体的な戦略が提案されました。
トランステップ株式会社は、日本の企業の94%がアクセスできていないという補助金・助成金の情報格差をAIで解決する「トレテル」を開発・提供しています。
セッションでは、ベータ版を提供中の現在、プロダクトの価値をさらに検証・向上させるため、「補助金を積極的に活用している企業」へのヒアリングを増やしたいが、その接点開拓に悩んでいるという課題が共有されました。
有識者からは、ビジネスモデルに関する踏み込んだ議論が展開されました。大企業に有償でSaaSとして提供するモデルは、補助金の性質上(一度使えば十分、継続性が低い)難易度が高い可能性を指摘。むしろ、個人や中小企業には「完全無償」で提供してユーザー(データ)を一気に集め、金融機関、VC、会計士といった「支援機関」と連携するモデルや、広告モデルの方がスケールするのではないか、といった提言がなされました。
白熱したセッションのさらに詳しい内容は、後日公開予定の詳細レポートでお伝えします。
最新情報は公式X(旧Twitter)でお知らせしますので、ぜひフォローして続報をお待ちください。
公式Xアカウント:https://x.com/startupleaguejp
また、当日のリアルな熱気は、ぜひハッシュタグで検索してみてください!
推奨ハッシュタグ:#スタートアップリーグアカデミー
■ICTスタートアップリーグ
総務省による「スタートアップ創出型萌芽的研究開発支援事業」を契機に2023年度からスタートした支援プログラムです。
ICTスタートアップリーグは4つの柱でスタートアップの支援を行います。
①研究開発費 / 伴走支援
最大2,000万円の研究開発費を補助金という形で提供されます。また、伴走支援ではリーグメンバーの選考に携わった選考評価委員は、選考後も寄り添い、成長を促進していく。選考評価委員が“絶対に採択したい”と評価した企業については、事業計画に対するアドバイスや成長機会の提供などを評価委員自身が継続的に支援する、まさに“推し活”的な支援体制が構築されています。
②発掘・育成
リーグメンバーの事業成長を促す学びや出会いの場を提供していきます。
また、これから起業を目指す人の発掘も展開し、裾野の拡大を目指します。
③競争&共創
スポーツリーグのようなポジティブな競争の場となっており、スタートアップはともに学び、切磋琢磨しあうなかで、本当に必要とする分の資金(最大2,000万円)を勝ち取っていく仕組みになっています。また選考評価委員によるセッションなど様々な機会を通じてリーグメンバー同士がコラボレーションして事業を拡大していく共創の場も提供しています。
④発信
リーグメンバーの取り組みをメディアと連携して発信します!事業を多くの人に知ってもらうことで、新たなマッチングとチャンスの場が広がることを目指します。
■関連するWEBサイト
ICTスタートアップリーグ
/
株式会社みらいワークス
/
株式会社フィッシュパス
/
株式会社フィッシュパス(公式サイト)
/
トランステップ株式会社
/
トランステップ株式会社(公式サイト)