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「どんな支援を受けても、実際にサービスが良くなるとは限らない」
そんな声も聞こえる中、ICTスタートアップリーグの海外展開サポートや伴走支援をフル活用し、ネットワーク構築やユーザー体験の改善を着実に実現してきたのが、物々交換アプリ「トレポータル」だ。
推し活の現場から生まれたこのサービスは、なぜ今、“推し活”ファンを惹きつけているのか?
その裏側には、神谷さん自身の等身大の悩みと、支援を“成長”に変えるリアルなドラマがあった。
まず、トレポータルという事業について教えてください。
神谷:開けるまで中身が分からないランダムグッズって、今は本当にたくさん販売されていますよね。私自身K-POPが大好きで、そうしたグッズを買って“自分の推し”が出なかったときは、推しが出た方と交換してもらうことが多かったんです。
ただ、その交換の多くはX(旧Twitter)上で行われていて、交換に特化したサービスではないぶん、検索のしにくさや取引の手間、安全面への不安を感じる場面が少なくありませんでした。実際、同じような課題を抱えている人も多くて。
それなら、交換に特化したプラットフォームがあれば、もっと安心して気持ちよく取引できる人が増えるんじゃないかと考えたのが、開発のきっかけです。
もともと大学院ではロボットの研究をしていたんですが、気づけば交換にかなりの時間を取られるようになっていて、研究との両立も難しくなっていきました。
だったら、いっそ自分で仕組みを作ってみようと思い、サービス開発に踏み切ったという流れです。
メンバーはどんな方々ですか?
神谷:最初は私一人で、もともとプログラミングはできるので、趣味の延長線上にあったのですが、大学の創業支援プログラムや産学連携機構の支援を受け、友人やサークルの後輩、授業で出会った仲間を集めてチームを結成しました。みんなジャンルはバラバラですが、推し活経験者が多かったですね。
支援を受けてそのままサービスインしたんですか?
神谷:いえ、実はこれまでに3回ほど、すべて最初から作り直しています。形にしてユーザーの声を聞くたびに新たな課題が見つかり、構造や仕組みそのものを見直さざるを得ないこともありました。
将来的なスケーラビリティや集客の観点からも課題が多く、当初の想定では通用しない場面が何度もあったんです。
試行錯誤を重ねる中でようやく今の形にたどり着き、アプリをリリースするまでに約1年を要しました。
Xなど他のサービスと比べて、どんな違いがありますか?
神谷:Xは交換専用ではないので、どうしても不安が残ります。トレポータルでは「送料のみで交換できる」仕組みを作りました。特にこだわったのが、“同時発送”と“証明提出”。「両者が合意した日に同時にグッズを発送し、郵便局の領収書や投函動画で証明する」ことで「片方だけ送ってこない」リスクを減らし、初めての方でも安心して利用できる。取引の流れやルールも明確にし、評価や取引履歴も見ることができるようにしています。
ICTスタートアップリーグの支援について、印象的な経験はありますか?
神谷:ICTスタートアップリーグの海外展開支援を受けて、タイで開催された「Japan Expo Thailand」にブースを出展しました。この出展が本当に“世界が広がる”体験でした。
日本や韓国では交換が盛り上がっていることは分かっていたんですけど、日本、韓国以外で交換というものがどのくらい盛り上がっているのか、特にタイは言語の壁が非常に高いので、少し聞くと簡単に交換という言葉が出てくるくらいに、当たり前のように交換も現地でも行われているということに非常に驚きましたし、タイにおけるリアルなニーズや文化的な特徴、現地でのビジネス展開の可能性について考えるいい機会になりました。
現地での発見や印象的なエピソードは?
神谷:「Japan Expo Thailand」の会場では、アニメや日本のコンテンツが好きな現地の方々と直接交流できました。「タイではFacebookグループで交換する」「駅の改札口で現地交換する」など、国ごとに“推し活”の文化が全然違うんです。
また、ファンが増えることで、長期的に資金調達や人材獲得、ビジネスチャンスが広がるだけでなく、企業のブランドや信頼感も高まります。ファン海外に展開したいということは以前からチームでも話をしていますし、最初からグローバルに展開するような会社にしたいという前提で皆進めておりますので、どうするかというところが一番課題になっていたわけなんですけれども、そこの文化をつかむ機会をいただいたということが、そこにどうするかを詰める一歩に大きくつながりました。
ICTスタートアップリーグへ参加したことでサービスを向上させていかれたとのことですが、どういった支援がサービス向上につながったのでしょうか?
神谷:リーグには支援機関というものがあるんですけれども、その支援機関の方から、自分たちだけだとなかなかリーチできないような方にお話をさせていただいたり、K-POPだけではなく、アニメであったり漫画などのコンテンツのグッズもやりとりをできるようにしていこうと考えているので、ご意見をいただく機会を得られたところはすごく助かりました。
自分だけで一歩一歩進むことはできても、伴走支援のような形でサポートいただくことで、その度に10歩、100歩くらい進めることがあるなというのは大きく感じました。なかなか目の前ばかり見ていると、目の前の一歩を失うことが多くなってしまうんですけれども、支援をしていただくことで、外にリーチをすることで、その一歩の幅を広げることができるなということはすごく大きく感じました。
最後に、トレポータルのミッションや目指す世界を教えてください。
神谷:「安心して楽しく推し活ができる環境を提供する」ことが私たちのミッションです。将来的には「推しができたらトレポータル」と言われるような存在を目指し、国境や言語の壁を越えて、誰もが好きなコンテンツを楽しめる世界を作りたい。推し活を通じて新しい人間関係や体験が生まれ、より多くの人が自分の「好き」を大切にできる社会を目指しています。
編集後記
「推し活の悩み」から始まったサービスが、ICTスタートアップリーグの支援を受けて世界と直接つながる――。
1,000件を超える交換成立や、基礎技術の特許化への挑戦など、これからも事業の基盤を着実に強化しながら、“好き”をきっかけに社会や国境を超えて人と人がつながっていく。トレポータルの挑戦は、これからも続きます。
■ICTスタートアップリーグ
総務省による「スタートアップ創出型萌芽的研究開発支援事業」を契機に2023年度からスタートした支援プログラムです。
ICTスタートアップリーグは4つの柱でスタートアップの支援を行います。
①研究開発費 / 伴走支援
最大2,000万円の研究開発費を補助金という形で提供されます。また、伴走支援ではリーグメンバーの選考に携わった選考評価委員は、選考後も寄り添い、成長を促進していく。選考評価委員が“絶対に採択したい”と評価した企業については、事業計画に対するアドバイスや成長機会の提供などを評価委員自身が継続的に支援する、まさに“推し活”的な支援体制が構築されています。
②発掘・育成
リーグメンバーの事業成長を促す学びや出会いの場を提供していきます。
また、これから起業を目指す人の発掘も展開し、裾野の拡大を目指します。
③競争&共創
スポーツリーグのようなポジティブな競争の場となっており、スタートアップはともに学び、切磋琢磨しあうなかで、本当に必要とする分の資金(最大2,000万円)を勝ち取っていく仕組みになっています。また選考評価委員によるセッションなど様々な機会を通じてリーグメンバー同士がコラボレーションして事業を拡大していく共創の場も提供しています。
④発信
リーグメンバーの取り組みをメディアと連携して発信します!事業を多くの人に知ってもらうことで、新たなマッチングとチャンスの場が広がることを目指します。
■関連するWEBサイト
トレポータル
/
株式会社トレポータル
/
株式会社トレポータル(LEAGUE MEMBER)
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ICTスタートアップリーグ